1. HOME
  2. ブログ
  3. 旭川~素敵な人とモノがたり
  4. 旭川で見つけた、素敵な人とモノがたり 第1回:時を越えて息づく「本物」の空間と、温かなおもてなし 〜おかだ紅雪庭〜

彩暮(サイクル)ブログ

SAIKURU BLOG

旭川~素敵な人とモノがたり

旭川で見つけた、素敵な人とモノがたり 第1回:時を越えて息づく「本物」の空間と、温かなおもてなし 〜おかだ紅雪庭〜

第1回:時を越えて息づく「本物」の空間と、温かなおもてなし 〜おかだ紅雪庭〜

皆さま、こんにちは。 新緑が美しく、爽やかな風が吹き抜ける旭川の街。今回は、5条16丁目にある「そばと日本料理 おかだ紅雪庭」さんを訪れたときのお話を綴りたいと思います。
趣のある門をくぐり、一歩足を踏み入れると、館内にはいつも凛とした美しいお花が優雅に出迎えてくれます。それだけで日々の忙しさがすっとほどけ、特別な時間が始まる予感に胸が弾みます。

モノがたり:築93年。今ではもう出逢えない職人の意匠と「見積りの無い建て方」

この美しい邸宅は、昭和8(1933)年、「清酒 北の誉」の創設者である岡田重次郎氏の私邸として建てられました。今年でなんと築93年を迎える名建築です。かつては皇室の方々をお迎えし、旭川の迎賓館としての役割も果たしてきたという非常に由緒ある歴史を持っています。
現在は、国の登録有形文化財として指定されているこの貴重な建物を、未来へ繋ぐために「動態保存(実際に使いながら保存すること)」という形で大切に受け継がれています。
インテリアや空間コーディネートを仕事にしている私にとって、ここはまさに五感が研ぎ澄まされる宝箱のような場所です。
当時は「見積りの無い建て方(贅を尽くし、良い材料と技術を最優先する工法)」と呼ばれ、完成までに2年もの歳月を費やしたのだそう。
• 現代ではもう手に入らない、贅を尽くした貴重な木材や建築材料
• 棟梁の細やかな遊び心と職人技が光る「鏑大根(かぶらだいこん)の欄間」
• 重厚な木製ドアに施された、光の入り方まで計算されたような美しいステンドグラス
建物のあちこちに、当時の棟梁や施主の並々ならぬこだわりが垣間見えます。現代の最新技術をもってしても、もう二度と建てることのできない「本物」の意匠ばかりです。
洋館の応接室に佇むのは、昭和11(1936)年製のヤマハのピアノ。鍵盤には象牙が使われており、当時は「家が1軒建つほど」と言われた超高級品が、今も美しい姿のまま空間に溶け込んでいます。
何十年もの間、人の手で丁寧に手入れされ、愛情を注がれて磨き上げられてきたからこそ醸し出される、独特の空気感と美しさ。流行に左右されない本物だけが持つ圧倒的な「品格」が、この場所には満ちています。

人ものがたり:和服の立ち居振る舞いと、空間の歴史を紡ぐ丁寧なおもてなし

おかだ紅雪庭さんのもう一つの大きな魅力は、そこにいる「人」の素晴らしさです。
お店に伺うと、美しい和服を身にまとった女将とスタッフの方々が、とても心地よい丁寧な距離感でお出迎えしてくださいます。
お料理を運んでいただく際も、単なるお品書きの解説にとどまりません。このお屋敷が歩んできた歴史や、職人たちのこだわりといった「邸宅のいわれ」を、誇りと愛情を持ってそっと説明してくださいます。
この歴史ある空間とお料理を心から愛し、訪れる人を慈しむ温かなおもてなし。その洗練された立ち居振る舞いからは、マニュアルだけでは決して生まれない、おもてなしのプロとしての美しい「品格」を感じます。

 

結びにかえて

私がこの場所を定期的に訪れ、深く愛している理由は、五感のすべてが「本物」で満たされるからです。
毎朝丁寧に手打ち・手切りされる、のど越しの良い八割蕎麦。そして、素材の旨味を極限まで引き出すために本格的に取られた、優しく深い味わいのお出汁。 それらを、長い歴史を重ねてきた本物の空間で、美しいお庭を眺めながら静かにゆったりといただく時間は、私にとって何よりの贅沢で、大切なリセットの時間になっています。
長い年月をかけて大切に手入れされ、守られてきたモノや空間の良さ。そして、そこに寄り添う人の温かさ。 それらを肌で感じるひとときは、私たちがこの旭川の街で、皆さまの毎日の暮らしや住まいを丁寧にお手伝いしていく上での、とても大切な指針をくれているような気がします。
皆さまもぜひ、この静かで美しい空間と、温かなおもてなしに出会いに足を運んでみませんか。

関連記事